2018年04月02日

黒潮だよりNO.65 2040年の豊橋市

4月になって急に気温も高くなって参りました。新年度の始まりです。
皆さん、息災ですか?

さて今回は、「2040年の豊橋市」はどうなっているのだろうか?ということを考えてみたいと思います。
実はこのお話、「豊橋市平成30年度予算」にも「とよはし2040構想の策定」という形で予算付けがされておりまして、行政としても今後の行政運営について22年先を見据えてやっていこう、との意気込みが感じられます。

それでは先ず、人口について「豊橋市人口ビジョン」に基づいて考察してみたいと思います。
2040年豊橋の人口は、出生率が現状のままだとすると33万8,000人程度。
現在から約4万人は減少します。高齢化は現状より更に進み、65歳以上が全体の33%を超えることに。反対に0~14歳は全体の約10%程度と低くなってきます。
同時に労働力人口も減ることを意味していますから、2040年の労働力人口は20万人で現状から約15,000人余り減る予測がされています。
行政としても労働人口の減少に伴い、歳入が減ることは目に見えてます。
簡単に言うと、財政は収縮する一方で高齢者福祉などの財政的負担が増え、行政運営が大変厳しくなるということ。
こういったことが懸念されるので、現在豊橋市では立地適正化計画などを策定して居住地域誘導地域などを指定しているわけです。

さて、人口による都市規模の縮小はある程度予測されていますが、テクノロジー分野はどうでしょうか?
こちらの方はなかなか的確な予測は難しそうですが、色んな情報から考察してみましょう。

先ず、2040年には完全自動運転が実現されている可能性が高いと言われています。
仮に完全自動運転が実現されたとするのなら、これまでの都市計画とは全く異なるものになると思います。
なぜなら、自動運転によって公共交通の必要性が限りなく小さくなるからです。
自動車を運転できない人でも、バスがなくても移動ができる。遠くまで行く用事がない限り、電車を利用することもなくなる。
完全自動運転が実現することによって、住む場所の選択肢が広がります。

更にIOTの活用が拡大されることにより、モノとモノがつながる。このことによって必要なものが瞬時に伝達され、ドローンによって自宅まで20分後には配送される、なんてことになるかも知れません。
例えば、貴方がジョギングをしていたとします。
口が乾いたので、帰ったら清涼飲料水を飲みたくなりました。
貴方はスマートウォッチに話しかけます。
「帰ったら、清涼飲料水が飲みたい。」
スマートウォッチに話しかけた情報は自宅の冷蔵庫に伝達されます。
冷蔵庫は清涼飲料水の在庫を確認し、無いことがわかるとその情報を近くの配送センターに送ります。
それを受けた配送センターでは受注されたものを用意し、ドローンによって貴方の自宅まで配送するのです。

移動の心配がなくなり、自宅にいて必要なモノが手に入る。
こうなると、移動のし易い地域、様々なモノが身近に存在する地域、いわゆる「まちなか」に住むことばかりに利点があるとは言えなくなるのではないでしょうか?
「自宅は大きく庭があるほうがいい。」、「自然に囲まれたところに住みたい。」などといったことが優先されるようになるかもしれません。

こうしたことが現実になるのが2040年頃だと言われています。
このほか医療技術の進歩やAIによる労働の代替など、テクノロジーの進化によって起きる変化は様々です。
前述させていただいた都市計画についてもこれまでの概念が正解とは限りませんし、今ある様々な主だった計画や政策も変わらざるを得ないことも出てくるでしょう。
2040構想は再来年策定される第6次豊橋市総合計画(2021~2030)のベースになります。
だからこそ今回予算計上された「とよはし2040構想」は重要なのです。

豊橋市は寄り道している時間とお金はありません。
できるだけ未来に向け真っ直ぐに進んでいくことが本市にとって必要なことであります。
・確度の高い情報を収集すること。
・掴んだ情報の精査、裏付けができる体制を確保すること。
以上のことを予算委員会のなかで指摘させていただきました。

時代は変化していきます。
地方自治体も時代の変化への対応力が問われています。

平成30年度豊橋市予算概要説明書
  


Posted by sugi  at 14:47Comments(0)黒潮だより

2018年02月06日

黒潮だよりNO.64 体験してこそ‼

先週土曜日に「NPO法人東三河ハートネット」さんが主催する「車いす体験」に参加してきました。
内容はカリオンビル~穂の国芸術劇場プラットまでを車いすで往復するというもの。
出発する前は、「そんなに大変じゃないだろう⁉」と思っていましたが、そんな余裕はすぐになくなりました。
車いすをこぎ始めた直後、「あれ?真っすぐ進まない、どうして?」となり、補助者の方に聞いてみると、「排水の関係で歩道も少し傾斜がついているんですよ。」との事。
なるほど、そう言われてみれば、普通に進むと片方に偏っていってしまう。
「歩いているときは感じられない傾斜が車いすに乗るとこんなにも感じるものなのか」
「歩道がこんなに狭く感じたのは初めて」などなど、普通に通行している時には感じられないものばかり。
約1時間を掛けて往復する間、エレベーターの待機場所の狭さや石畳の路面の煩わしさなどを体験し、その大変さを身に染みて感じました。
これらの経験は通常の生活をしていたら中々理解できないものであり、これからの施設の在り方、まちづくりの在り方について非常に参考になる体験となりました。
こんな体験をさせていただいた関係者の皆様に感謝です!

 体験ということではもう一つ。
私の地域の小学校が少人数になってきていることは、これまでもお伝えした通りであります。
学校の子どもの数が少ない、クラスメイトが少ない、といったことはきめ細かい授業が施せるという利点はある反面、本来体験することの種類や量が少ないということが言えます。
例えば、「体育でも大人数のスポーツができない」だとか、「人間関係が固定化し、新しい出会いに乏しい」だとか。
学校以外で子どもに様々な体験をさせるのは親の役割なのかもしれませんが、家庭環境により金銭的に難しかったり、時間が取れなかったりなど、そうしたくてもできないといった状況もあるのが実際です。
そう考えると、「体験量を買う」のではなく、「体験量を社会が補う」といったことが必要な時代になってきたと思います。
先日、地元の小学校に見学に行ったとき、近隣小学校とのスポーツと音楽の交流をしていました。これは、文部科学省の補助メニューとして行われた交流体験授業でありますが、我が子が「新しい友達ができた。」、「これまで体験したことのないスポーツができた。」などと喜々として話しているのを見て、体験することの大切さを改めて感じました。

前述の「車いす体験」同様、体験したことがない事は、想像でしかありません。
子どものころから様々な体験、経験をすることで人間は成長していくのだと思います。
私も「車いす体験」をもっと早くしていたならば、様々な場面でもっと配慮することができていたのかもしれません。
変化していく社会環境の中、足らない体験・経験を社会や行政が工夫して提供する仕組みが必要であり、その中から得たもの、感じたものを政策に活かしていくことが重要です。
これからも率先して体験・経験をし、改めて現場主義で活動をしていく決意をさせていただいた良い機会でした。
  


Posted by sugi  at 16:04Comments(0)黒潮だより

2017年12月10日

黒潮だよりNO.63 人手不足時代の到来‼ 豊橋工業は7倍の求人が・・・

今年も早いもので、もう年末です。
皆さん、お元気ですか?
メールマガジンのメンテナンスに時間がかかり、久しぶりの配信になります。
今回は「人手不足」についてお伝えしたいと思います。

ここ最近、私の周りの経営者から「人がいない」、「人手不足だ」とのお話をよく聞くことがあります。
それもそのはず、11月に発表された帝国データバンクの統計を見ますと、
全体では
○正社員が不足している 49.1%(前年同月7.3%増)
○非正社員が不足している31.9%(前年同月4.7%増)

→ いずれも過去最高値、正社員不足はいよいよ半数に近づきました。

規模別では
○正社員の不足は、大企業が56.4%で中小企業が47.2%(うち小規模42.2%)
○非正社員不足は、大企業が34.3%で中小企業が31.3%(うち小規模29.6%)
 
→ 企業の規模を問わず不足、規模の小さい企業も不足感が増してきました。

業種別では
○正社員不足は、情報サービスが最も高く70.9%、続いてメンテナンス・警備・検査/運輸倉庫/建設/リース/再生資源卸売/電気・ガス・水道・熱供給の順で6業種が60%を超えている。
○非正社員不足は、飲食店で最も高く80.5%、続いて飲食料品小売が60.9%、人材派遣・紹介/各種商品小売/繊維・服飾小売/娯楽サービスの順で4業種が50%を超えている。

 → 様々な業種で不足、特に「情報サービス」と「飲食店」は凄まじいです。

景気の回復とともに、労働市場が逼迫してきています。生産設備はあっても人手が足らず受注に応じられない、バイトが集まらずお店を早く閉めざるをえない、工場経営を任せられる人がおらず廃業するしかない、このような事柄があちこちで出始めれば、経済は成長が止まり下降へと向かうことになります。この状況は農業などの1次産業においても雇用を伴う経営体は同様の課題を抱えています。

このような問題意識を持ちながら、12月議会にて一般質問をさせていただきました。
本市の現状認識はこうです。

愛知県の直近の4~6月の完全失業率が 2.7%と完全雇用と言っても過言ではない状況
本市においても豊橋工業高校では就職希望者一人に対して、7倍の求人がある
豊橋商工会議所の景気動向調査では、業況感を示すDIが全業種で改善している一方、同じく全業種で経営上の問題点として「従業員の確保難」が挙げられている
本市の労働力供給は細くなっており、加えて需要とのミスマッチもあり、企業の人手不足は深刻化していると認識

労働力に対する対応は大きく分けて2つ
①人的労働力を確保する⇒労働者の確保
②労働需要を減少させる⇒生産性の向上

①の場合は、今後も減少が見込まれる労働人口をどう増やすか?
首都圏などからUIJターンなどで引っ張ってくることも考えられますが、あまりにも数が少ない。そうすると後は労働人口の掘り起こしが肝になってきます。
では、どこに掘り起こせるだけの労働人口があるか、と申しますと、これはもう女性とシニア世代しかありません。

例えば、日本では30代からの女性の就業人口が少ない。これをスウェーデン並にすれば、あと350万人の雇用が見込めます。これを豊橋市に置き換えると約9,000人の潜在労働人口があるということになります。
また、60代後半も60代前半と同じくらいイキイキと働けるようになれば、およそ160万人の雇用が見込め、同じく豊橋市に置き換えれば、約4,800人となります。

このようになることは、なかなか地方自治体だけでは難しいので、国の施策と併せて自治体独自の子育て支援などの政策の強化が必要であります。

一方で②の生産性の向上ですが、豊橋市も省力化などの機械導入には積極的に補助事業を行ってまいりましたが、それだけでは足らないと思います。
コンピュータにおけるオペレーティングシステムやハードウェアなどのプラットフォームが整備され、それらを活用するアプリケーションも充実してきている昨今、これらを使いこなす人材の育成にも積極的に支援するべきです。
具体的には経産省が推奨する「ITコーディネーター」などの資格取得に対する支援が必要ではないでしょうか。

経営者の高齢化も進む中で(中小企業経営者の年齢ピークはこの20年間で47歳から66歳へと高まっている)、これからは、ITはもとよりIOT、AIなどへの対応が迫られています。
第3次産業革命、いわゆるIT革命への対応の遅さが日本の産業の低迷として指摘されている中で、この潮流に如何に対応していくか、が産業振興の鍵になっていくと思います。
このことも行政が関わる面は少ないと思いますが、商工会議所や農協などとも連携し、現場経営者の声を聴きながら共に啓発し合う中で、できる限りの政策を推し進めることが必要であります。

また、「隗より始めよ」ではありませんが、豊橋市役所の生産性の向上も同時に進めていかなければいけません。

まだまだできることはたくさんあります!
12月議会
中日新聞 12月5日朝刊


  


Posted by sugi  at 16:28Comments(0)黒潮だより黒潮だより